×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
がじがじと爪を噛む癖があるので、鬼柳のすらりと伸びた指の先はでこぼこと歪な形をしている。ガキのようだと仲間に笑われても、どうやら生まれついての習癖らしく本人も諦めてしまっている節があった。しかし俺たち全員の指をいちいち手にとって眺めては溜め息をつくあたり、やはり気にはしているようだ。
「どーすりゃいっかな、遊星?」
手のひらをかざしながら、鬼柳は俺に話を振る。作業の手を止め、向かいに座る鬼柳に視線をやった。
「何を」
「どーやったら爪噛まないでいれるかな?ってさ。無意識なんだぜ、治しようがねーだろ」
「そうだな……」
こちらに差し出された手をとると、やはり先がへにゃりと潰れ、不格好だ。これでは格好がつかない、とリーダーは嘆くが、そういう問題でもないだろうと俺は思った。
「しかしもったいないな」
「ん?」
「せっかく綺麗な指をしているのに……」
頭に軽い衝撃がきて、俺は顔をあげた。鬼柳は笑っているような、怒っているような、あらゆる感情を詰め込んだ、微妙な表情を浮かべている。
「鬼柳、どうしたんだ」
「恥ずかしいやつ!」
「?」
「なんだよ天然かよめんどくせー!」
PR
遊星は、短い間隔で二度まばたきをした。毎日のように姿を見せる彼女が、今日は何故かいつもより眩しく映る。
彼の視線に気付き振り向くと、真っ赤な林檎のように色づいた頬を緩ませ、微笑むのだ。
「どうかしたのか、アキ」
「どうか、って?」
「いつもより、キラキラしている」
「あら、そう」
再びまばたきひとつ、やはり光は消えない。(サイコデュエリストは、こんなカード効果も使えるのか…?)一層笑みを深める少女の美しさも、眩さの理由も、彼にはまるで分からないのだった。
彼の視線に気付き振り向くと、真っ赤な林檎のように色づいた頬を緩ませ、微笑むのだ。
「どうかしたのか、アキ」
「どうか、って?」
「いつもより、キラキラしている」
「あら、そう」
再びまばたきひとつ、やはり光は消えない。(サイコデュエリストは、こんなカード効果も使えるのか…?)一層笑みを深める少女の美しさも、眩さの理由も、彼にはまるで分からないのだった。
「っ……待て、ジャック。ここでは駄目だ」
「何故だ」
「……外だ。人が来るかもしれん」
「フン、知ったことか」
「そんなこと言って、昔も見つかりそうになっただろ」
「あれはお前の声がやたらでかいのがいけない」
「誰のせいだと……っ!」
「本当は貴様も期待しているのだろう、鬼柳。口では嫌がっても……」
「AV男優のような言い回しはやめろ!」
「……えーぶいとは、何だ」
「なん……だと……!?」
--------------------
仮想立体うんたら跡地にて
「何故だ」
「……外だ。人が来るかもしれん」
「フン、知ったことか」
「そんなこと言って、昔も見つかりそうになっただろ」
「あれはお前の声がやたらでかいのがいけない」
「誰のせいだと……っ!」
「本当は貴様も期待しているのだろう、鬼柳。口では嫌がっても……」
「AV男優のような言い回しはやめろ!」
「……えーぶいとは、何だ」
「なん……だと……!?」
--------------------
仮想立体うんたら跡地にて
「――それはジャックの照れ隠しだ。フフ、そういうのをツンデレというらしいと、この前教えてもらった。……そうだな、ジャックはいつでもジャックだ。たしかにあいつはあれだが、忙しい合間を縫って会いに来てくれているんだ。相手をしてやってほしい。……ああ、クロウも思い切ったことをしたものだな。あの二人らしいとオレは思うが。……さぁな、どちらが勝つだろう?今から楽しみだな。……嬉しそうだな、鬼柳。……そうか……いや、別に、すごくはない。オレができることはそれくらいしかないから……鬼柳、寂しいのか?……そうか……お節介だとは、分かっているが。……うちに来ないか?今住んでる家には、ああ、ここは借り家なんだが、……大家さんがとても良い人で……きっと、鬼柳が来たら歓迎してくれると思う。ジャックもクロウも行ってしまったから、今はオレ一人しかいないんだ、だから……ああ、二人とも、お前のことを心配しているのさ。素直になれないだけなんだ、分かっているだろう?……鬼柳、オレはまた、お前と一緒に過ごしたいんだ。あの頃みたいに……寂しいのなら、オレに寄りかかってくれ。お前が頼ってくれるのが、オレは嬉しい。……すまない、無理強いしたいわけじゃなくて、オレはただ、お前と……ああ、そうか、長くなってしまったな。この話は考えておいてくれ。ああ、わかった。待ってる……じゃあな、鬼柳」
「――ああ、最近会ったぜ。近くに寄ったからとかなんとか。……マジか。男にデレられてもなぁ……ツンデレってめんどくせーのな。にしてもあいつ相変わらず偉そうな態度でさ、まあジャックらしいっちゃらしいけど。でもテレビで毎日のように見てるからな、あんま久しぶりって感じでもなかったな。あ、そうそう、今度クロウが挑戦しに行くらしいじゃねぇか?すげぇよなあ、あいつらはどんどん強くなっていくんだな。……あ?そりゃ嬉しいよ。サテライトで燻ってた奴らがさ、世界を自由に走り回ってんだぜ。遊星だって、ネオ童実野シティで開発にかかわってんだろ?すげぇよ。すげーってほんと……ん?うん、……うん、そうだな……はは、かなわねーな遊星には……。ああ、こう言うとすげーかっこ悪ぃけど、うん、寂しいと思うときもある。……うん?あー、それな。この前ジャックにも言われたわ。クロウもさ、さりげなく聞いてきやがんの。あいつ厳しいんだか甘いんだかわっかんねぇよなあ?……はは、良い奴だってのは、分かってるさ。……たしかにもう町は復興してるし、オレがいなくても問題ないんだけど、やっぱりオレはなんつーか、弱いから、お前のとこに行ったらまた腑抜けになっちまいそうで。……いや駄目だろ。駄目っつーか、オレが嫌なの。30にもなって親友に寄りかかって生きるってのがどんだけ恥ずかしいことか分からないわけじゃねーだろ?……ばーか……お前がそんなだから、オレはずるずる根付いちまうんだ……。ああうん、ごめんな。悪いのはオレだよ。ほんとは、すごく嬉しいんだ……お前とまた一緒に過ごせたら、どんなに良いだろうって思う……ああ、悪い。時間だ。……また電話するから。じゃあな、遊星」
カレンダー
05 | 2025/06 | 07 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(06/24)
(02/19)
(02/06)
(12/21)
(09/30)
(09/30)
(09/09)
(09/08)
(08/24)
(08/04)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
みその
性別:
非公開
ブログ内検索
最古記事
(04/26)
(04/26)
(04/26)
(04/26)
(04/30)
(05/07)
(05/16)
(05/20)
(05/20)
(05/23)