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「五千年か……」
「かかったものよ」
「キリッ」
「や め ろ」
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ついにダークシグナー編突入ですね。おめでとうリーダー!
がじがじと爪を噛む癖があるので、鬼柳のすらりと伸びた指の先はでこぼこと歪な形をしている。ガキのようだと仲間に笑われても、どうやら生まれついての習癖らしく本人も諦めてしまっている節があった。しかし俺たち全員の指をいちいち手にとって眺めては溜め息をつくあたり、やはり気にはしているようだ。
「どーすりゃいっかな、遊星?」
手のひらをかざしながら、鬼柳は俺に話を振る。作業の手を止め、向かいに座る鬼柳に視線をやった。
「何を」
「どーやったら爪噛まないでいれるかな?ってさ。無意識なんだぜ、治しようがねーだろ」
「そうだな……」
こちらに差し出された手をとると、やはり先がへにゃりと潰れ、不格好だ。これでは格好がつかない、とリーダーは嘆くが、そういう問題でもないだろうと俺は思った。
「しかしもったいないな」
「ん?」
「せっかく綺麗な指をしているのに……」
頭に軽い衝撃がきて、俺は顔をあげた。鬼柳は笑っているような、怒っているような、あらゆる感情を詰め込んだ、微妙な表情を浮かべている。
「鬼柳、どうしたんだ」
「恥ずかしいやつ!」
「?」
「なんだよ天然かよめんどくせー!」
「お前はほんと良い奴だよなあ。タッグ組んでも文句なしのプレイングしてくれるしよ」
「ありがとう」
「顔もまあ、そこそこ良いし。細いようで結構がっちりしてるし」
「くすぐったいんだけど」
「でもお前人気あるからな、放っておくとすぐ誰かに持っていかれそうだな」
「はぁ」
「――な、これからも俺のパートナーでいてくれるか?」
「もちろん、クロウが望むなら」
「じゃあ付き合ってくれ」
「どこに?」
「俺と」
「?」
「俺と付き合ってくれ」
「……クロウ、そっち系だったのか」
「お前だって男でも女でもいけるクチだろ」
「うん」
「だったらいいだろ」
「いいけど……」
「けど、なんだよ?」
「俺他にも何人か恋人いるけど、それでもいいなら」
「……」
「悪かったよ、そんな落ち込まないでくれ」
「この節操なし!!」
「クロウに言われたくないんだけど」
「……そんなことはない」
「眉間に皺が」
「触るな!」
「いつもだったら怒らないのに……どうかしたの?」
「貴様が……」
「俺が?」
「ッなんでもない!」
「ああ、ジャック。待って」
「なんなのだ!」
「タッグは解消?俺デュエルしたいんだけど」
「~~~~~このデュエル馬鹿が……!」
「ジャックに言われるとは思わなかった」
彼の視線に気付き振り向くと、真っ赤な林檎のように色づいた頬を緩ませ、微笑むのだ。
「どうかしたのか、アキ」
「どうか、って?」
「いつもより、キラキラしている」
「あら、そう」
再びまばたきひとつ、やはり光は消えない。(サイコデュエリストは、こんなカード効果も使えるのか…?)一層笑みを深める少女の美しさも、眩さの理由も、彼にはまるで分からないのだった。
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